肩こりについて
肩こりは肩を中心にした痛みやこわばり、動かしにくさが起こっている状態で、首やその付け根、背中など広範囲に症状が起こることもよくあります。悪化すると頭痛や吐き気をともなうケースもあります。
肩の動きには、多くの筋肉が関わっています。また、腕や肩を同じ位置や角度に保つためにも多くの筋肉が働いているため、動かさないことでも大きな負担がかかり続けます。肩こりは様々な原因で起こりますが、首・肩・背中に広がる僧帽筋という大きな筋肉が原因で起こるケースが多い傾向があります。
肩こりの原因
一定の姿勢を保つためには、特定の筋肉の緊張が必要です。そのため、動かないまま長時間過ごすと緊張し続けた筋肉が固まって血行が悪化するため、その部分の酸素や栄養素が不足し、痛みを起こす物質や老廃物の排出が滞り、コリや痛みを生じます。猫背など悪い姿勢を続けると特に一定の筋肉に対して大きな負担をかけ続けるため、コリや痛みが起こりやすくなります。また、運動不足や冷えは血行を悪化させるため、肩こりのリスクを上昇させます。日常的に何気なく行っている癖、ストレスなども肩こりにつながることがよくあります。
ただし、肩こりが疾患の症状として現れていることもありますので、疾患の有無をしっかり調べることも重要です。整形外科では肩こりを専門的に診療していますので、慢性的な肩こりがある場合はご相談ください。
肩こりから疑われる疾患
- 頚椎椎間板ヘルニアなどの頚椎疾患
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)などの肩関節疾患
- 頭蓋内疾患
- 高血圧症
- 眼疾患
- 耳鼻咽喉疾患
- 腱板断裂
肩関節周囲炎
いわゆる五十肩です。
肩関節を構成する骨軟骨、靭帯や腱などに炎症が生じて痛みが生じます。
運動時痛、夜間痛などの症状がみられます。
炎症が長引くと癒着が生じて、肩関節の動きが固くなります。(拘縮といいます)
拘縮が生じると、洗顔しづらい、着替えがしにくいなど日常生活に支障が出ることが多くなります。
腱板断裂
腱板は肩関節をスムーズに動かすように働く筋肉の集合体です。
経年変化によってすり減ったり、転倒などによる肩の打撲が原因で断裂が生じます。
肩関節周囲炎と同様で、運動時痛や夜間痛などがみられ、
自力で腕を挙げることができなくなるのも特徴的な症状の一つです。
関節の動きが固くなることは少ないですが、痛みが長期になれば拘縮を生じます。
腱板断裂の診断
MRIやエコーで画像評価を行います。
腱板断裂の治療
- 炎症を抑える
消炎鎮痛剤の内服や外用薬の使用や注射(ステロイドやヒアルロン酸) - 筋力訓練
運動器リハビリを行うことで動きの改善がみこめます。 - 手術
切れた腱板は自然には修復しません。腱板を修復するには手術が必要になります。
ただし、腱板自体の変性(経年変化)が強い場合は再断裂の可能性もありますので、手術に関しては、専門医に相談するのがいいでしょう。
ご希望を伺い、紹介状を書かせていただくことが可能です。
肩こりの診断と治療
レントゲン | 頸椎の側面像は、正常では前曲がり(前弯)ですが、肩こりでは直線化や後弯変形がみられることがあります。 |
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- 消炎鎮痛薬や筋緊張を和らげる薬を使用
- 温熱療法(血流を改善)や運動器リハビリ(筋力訓練)
- 予防が大事です
- 姿勢に注意をする
- 長時間、同じ姿勢をしないように心がける
- ストレッチをする