変形性膝関節症
年齢的な変化や外傷などが原因で、関節軟骨がすり減り変形を生じます。
症状
動き始めの痛みや階段昇降時の痛みを感じることが多くみられます。
徐々に歩行時の痛みも悪化していき、活動性が低下します。
炎症がひどい場合には腫れることもあり、曲がりにくさを感じることもあります。
診断と治療
レントゲンで、関節の隙間(関節裂隙)が狭くなっていたり、骨の変形を認めます。
治療の流れ
Step1消炎鎮痛剤
炎症を抑えて痛みを軽減します。初期であればこれで症状が消失することもあります。
Step2注射
ヒアルロン酸の関節注射により炎症を抑え、軟骨を保護する効果が見込めます。
(ヒアルロン酸注射で人工関節に至る期間が延びたとする報告もあります。)
炎症が強い場合にはステロイドを使用することもありますが、極力避けたほうがよろしいと考えます。
Step3装具
足の裏に装着する装具により負担がかかる位置を変えることで痛みを緩和させます。
義肢装具士によって、その人の足に合った装具を作ります。
支柱付き膝サポーターも効果があります。
Step4リハビリ
ホットパックや干渉波治療などによる消炎治療を行います。
運動器リハビリによる筋力訓練や可動域訓練で膝にかかる負担を軽減します。
Step5手術
様々な治療が効果なく、日常生活に支障があるようであれば手術をお勧めします。
「年だから」と言われる方も多いですが、年長者の方に多い疾患ですので、あきらめずに検査を行ってみてはいかがでしょうか。
大腿骨顆部骨壊死
微細な骨折が原因で骨がつぶれてしまうことがあります。
症状は変形性膝関節症と似ています。
変形性膝関節症の治療を行っても痛みや腫れが引かない、夜寝ていても痛みが生じるなどの症状があればMRIで検査を行うことをお勧めします。
半月板損傷
大腿骨と脛骨の間に半月板があります。
半月板損傷が生じると膝をひねったり、深く曲げるときに痛みや引っかかりを感じることがあります。
軟骨損傷の原因にもなります。
悪化すると、引っかかりにより膝が動かせなくなることもあります。(ロッキング)
診断と治療
診断 | MRIで評価します。 |
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治療法 |
これらで改善しなければ手術を検討します。 |
足関節捻挫
スポーツや歩行時などに足首をひねった時などに生じます。
足関節を支える靭帯の損傷です。
外側の靭帯が損傷されることが多くみられ、外くるぶしの前方が腫れたり痛みを生じます。
まずはRICE処置を行ってください。
R:Rest(安静)
I:Icing(冷却)
C:Compression(圧迫)
E:Elevation(挙上)
診断
レントゲン | 骨折の有無の確認をします。 |
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エコー | 靭帯損傷の有無の確認をします。 |
治療
- 消炎鎮痛薬
痛みと腫れを抑えます。 - 外固定
程度が軽ければ装具を使用しますが、体重をかけることが困難な状態であれば、ギプス固定を行います。 - 運動療法
筋力訓練やバランス訓練を行うことで、再発の予防にもなります。
扁平足
土踏まずの部分がなくなり、平べったくなります。小児扁平足や成人扁平足があります。小児の場合は成長とともに改善することが多い様です。
成人の場合は長時間の立ち仕事や体重の増加などが原因になります。
診断と治療
レントゲンで骨の並びの異常を確認します。
治療の流れ
Step1消炎鎮痛薬
痛みがあるときは内服薬や外用薬の消炎鎮痛薬を使います。
Step2装具療法
土踏まずを補助する足底板という装具を使います。
当院ではその人に合わせた装具を作ることが可能です。
Step3運動療法
足の裏の筋力を鍛えることで予防にもなります。
足底腱膜炎
かかとの内側前方に痛みが生じます。朝起きた時の歩き始めに強く痛みを感じることが多いようです。
かかとをついたり、つま先立ちでも痛みが生じます。
原因
足底腱膜はかかとと足のゆびに付着する組織です
長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、スポーツな足などが原因になります。
治療の流れ
Step1消炎鎮痛薬
痛みが強ければ内服薬や外用薬を使用します。
Step2装具療法
かかとの刺激を避けるような足底板を作成します。
Step3運動療法
足のゆびのストレッチなど
外反母趾
症状
足の親ゆびが外を向く変形により、付け根の痛みが生じます。
原因
つま先の細い靴や、ヒールの高い靴が原因の1つです。
扁平足や開帳足が原因にもなります。
診断と治療法
レントゲンで骨や関節の変形を確認します。
治療の流れ
Step1靴の見直し
ゆびを抑えるような靴を避けるようにします。
Step2装具療法
ゆびの間に挟むものや、親ゆびを内側に矯正する装具
あるいは扁平足と同様に足底板を使います。
Step3運動療法
ゆびを動かす運動を行います。
Step4手術
変形や痛みが強い場合は手術をすることもあります。
骨粗鬆症
骨の量が減ることにより骨がもろくなり、骨折が生じやすくなる病気です。
骨では、古い骨が溶け(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という繰り返しが行われています。この骨吸収と骨形成のバランスが崩れると骨がスカスカになり、骨粗鬆症になります。女性、特に閉経後の女性に多くみられ、ホルモンバランスの異常が関係していると考えられています。
痛風
血中の尿酸値が高くなり(高尿酸血症)、尿酸の結晶が関節に付着することで炎症を引き起こします。
炎症が生じるのは体の末梢に多くみられます。
末梢ほど血のめぐりが少なく、尿酸が結晶化しやすいためと言われています。
特に多いのが、足の親指の付け根(MP関節)です。
原因はプリン体の過剰摂取です。
関節リウマチ
40~50代の女性に発症することが多く、しかし原因はまだわかっていません。
自己免疫の異常が関係しています。
朝起きた時の手のこわばり(腫れや動きにくさ)などの症状がみられます。
典型的には左右対象の関節痛ですが、1つの関節の症状で出現することもあります。
進行し関節が破壊されると、日常生活に支障が生じることが多くなります。